その87

 ある存在の外部であった何かが内部化されることはあるのか。ある存在の外部は動的であり、外部であった状態がそのまま内部化されるのではないとき、外部が内部になるといった表現は適切ではない。aがbになることが外部の内部化であれば、外部は外部であり、内部は内部である。内部化された何かは外部ではない。内部はそのすべてが外部に由来するといえば過言にしろ、内部とはその構造のことを言うに過ぎないのではないか。構造のなかに実在することを内部と呼び、その物質性には外部も内部もない。構造としての内部は存在の流れの中にある。枠組みがあることでりんごはりんごだが、どんなりんごであるかは、構造のみが原因ではない。りんごの構造をはるかに超えた実在の関与があって、りんごはりんごなのではないか。存在の流れの中にさまざま構造があることで、さまざまな個物がる。個物の実存性は個物の構造を超えた実在である。