その70

 色とは存在の流れのなかで個別に凝縮された結果であり、その運動である。赤い運動が青い運動と隣り合うことで、私たちが機能的に色彩を生み出していく。物理的には一個の現象である色の根底はフュシスであり、それ自体のいかなるかは判然としないなかで、赤があり、青があることは、私たちの機能により生み出された結果であると考えられる。私たちにとって普遍的な赤が、存在における普遍ではない。現象としての赤は私たちとの関連において実在するのであり、私たちが赤を生み出さない限り、赤は実在しない。