その59

    流れの中にあるものは何であれ、流体である。流れが流れを生んでいる。生み出された流れは、他の流れにとっての流れとなる。一個のりんごは一個の流れであるが、りんごの流れはどこまでの流れを含んでいるのか。ある流れが成立するために必要な絶対性がある。絶対性の寄せ集めで出来上がっている存在は、それが何であれ、私たちにとってのはかりそめの事実でしかない。それそのものがある事実は疑いようがない。私たちが人間である事実はまったく真実である。流れの結果において生じた私たちの実在は、私たちであることで成し遂げられている。万物はそのいかなる時間における実在をも包摂したうえで、あらゆる疑いと関わりを持たない。在る。そのいかなるかがあらゆる瞬間において真実である。私たちは私たち以外の何かではない。私たちが私たちであるのは、私たちをまっとうしているからである。