その58

   個物の存在よりか広い領域が系となり、個物を実在させていると考えられる。それ自体はそれ自体のための領域内に実在する。絶対基底が一個のりんごを包摂した上で実在する。絶対規定はりんごのよりか広い領域である。絶対既定の系は移ろいであり、姿の変容が実質である。いかなる系であるかは中心にりんごを持つことを基底に、その変容であり複雑さにある。要素の変容が実質である絶対規定は、それがりんごのためであるといった意味で絶対的である。りんごの実在のために実在する系は、りんごの実在のために絶対的である。りんごがりんごであるために必要な絶対さがある。絶対といえど、その領域は非絶対的である。りんごを内包する領域は止まっていない。りんごの変動がゆえで領域も変動にある。移ろいそのものであるりんごとその包摂系は一瞬であっても定義できない。絶対である所以は、りんごを実在可能としているといった意味においての絶対さである。絶対規定をもつりんごは絶対不動をもつのではない。運動である基底もりんごも停止した姿をもつことのない流体である。