その54

   りんごの内部は他の何かの外部である。他の何かの外部がりんごの内部であるとき、りんごの内部は、他の何かの絶対基底である。何かは絶対基底を存在するための領域として所有し、そのものの内部のみならず外部もまた欠くことのできない実在として抱え込んでいる。何かの絶対基底はまた、部分的に共有される実在である。何かにとって絶対的なのは、その領域である。領域は他との共有的実在である。動的な共有的実在の領域は、何かそれ自体として確固たる状況にあるのではない。そのものとして入れ替わり続ける状況にある共有的実在は、何かにとっての共有的実在でありつつも、同時に、何かにとっての共有的実在であり、一個のりんごはこうした共有性により成立し、交換的実在でもある。

    一個の主としてのりんごがあるとき、そのものであることは他との共有性により成立し、かつ、他との交換性により成立する。りんごが一個あることを他の何かと交換することでりんごであることが継続可能となっているのではないか。りんごがりんごでありつづけるためには、他の何かと交換することが必要である。りんごであるための内的な循環を保持するために、入れ替える必要がある。他との交換は他の主体を成立するためでもある。りんごと他は同時に、交換的であることで成立する。