その52

 りんごが生まれるために必要だったことがある。りんごそのものの外部にりんごの原因があるとき、りんごはりんごではないものから出来上がっている。りんごであることはりんごであることのみならず。りんごであることはりんごであることと同時に、りんごでないことを含む。まったき同一の瞬間にりんごはりんごであってりんごではない。

 りんごでないものがなぜりんごなのか。りんごであることがりんごの根底にあると考えるとき、りんごであることはりんごの外部にも依存していることから、りんごの外部もりんごの内部もりんごであることの根底にある。

 りんごの内部にりんごの外部が宿されていると考えるとき、りんごの内部における外部性をりんごにおける絶対基底と呼ぶことができる。外観上、りんごはその内部と外部に分かれていると感じらるが、外観を超えた実質が現実であるとき、りんごがりんごであるために必要な要素が、とあるりんごにおいて絶対的にある状況について、その絶対的な領域を存在のなかにおいて、りんごの絶対基底と呼ぶことができる。りんごはその外観とは関係のない状況で、絶対規定をもとに出来上がった現象である。